<経歴>
1936年、千葉県生まれ、千葉県南房総市在住。
詩集『萱の穂』、『光るリボン』、『風はや』、『白い花が咲いたら』、『浜ひるがおはパラボラアンテナ』、『ひもの屋さんの空』、『花のごはん』、『いのちの重み』。
童話集『はなかごクレヨン』、『カジカ谷の夏』、『おなかをすかしたハンカチ』、『プクリとパクリ』、『神さまのいる村 白間津大祭物語』、『シイの実のひみつ』、『村にあふれる子どもたち けいちゃんは中学生』、『くろねこカックン』。
評伝『青木繁とその情熱』。
日本児童文芸家協会、日本児童文学者協会、日本詩人クラブ、各会員。
<詩作品>
いのちの重み
ねこは
かるいね
わたのように
まがった鋭い爪
すい直とびのバネ
ねずみをかみくだく歯
くらやみでもみえる目
ねこは
ふわふわ
くものように
ねこのすべての武器も
役にたたない
ふわりと だきあげて
悲しいと思うのは なぜ
おまえを わたしの自由に
動かさないよ と言ってみる
唯一 皮肉にも おまえの敵は
このわたしなのだから
ねこは いつから野性をすてて
ペットになりさがったの
食べものがなくて
おなかを空かすのがこわいのだ
アンデスの雪山の頂上から
発見されたインカの
あどけない子どものミイラ
おなかいっぱい食べて
ねこのように眠ったままの
やさしかった大人が だきあげて
ぬくもりのまま 神に献上した
最愛の子を 最上の捧げものとして
神が喜んだろうか
神が願いをかなえたろうか
いのちよ
重くなれ
利用されないように
クマの赤ん坊
テレビの画面にいる
クマの赤ん坊
雪のなかをころがりながら歩いている
母親は見あたらない
吹雪で はぐれたか
また めぐり会えるか
どれほどおなかをすかしているか
どれほどこごえているか
わからない
親グマが子を捨てるわけがない
人間が撃ったのなら
ゆるせない
親にはぐれた子グマは
生きていけません
テレビの解説が言った
あのよろよろしてる子グマを
どうすることもできない子グマを
映さないでほしい